Japan Construction Method and Machinery Research Institute
一般社団法人 日本建設機械施工協会
施工技術総合研究所
0545-35-0212

実橋載荷試験

〔実橋載荷試験の主な目的〕

 ・橋梁各部の挙動の把握 → 補修・補強設計への反映,設計値との比較
 ・補修補強効果の把握  → 応力やたわみ・変形量の低減
 ・供用下での挙動と荷重車載荷時の挙動の比較 → 通行最大荷重の推定

〔実橋載荷試験実施要領〕

(1)静的載荷試験

 軸距,軸重や総重量が既知の荷重車(主に散水車,トレーラ,クレーン車)を所定の位置に載荷し、この時の各部の応力,変位等を測定します。載荷に当たっては、過度の荷重によって橋梁部材を傷めないこと、供用下では通行車両の安全を確保することが重要です。荷重としては、総重量20tの車両を用いたり(写真-1)、さらに重量の大きな車両を複数用いたりすることもあります(写真-2)。

写真-1 20トン車による静的載荷試験
写真-2 複数の荷重車による静的載荷試験

(2)荷重車走行試験

 軸距や軸重等の諸元が既知の荷重車を走行させ(写真-3)、所定のレーン走行時の各部の応力・変位挙動をとらえるものです。走行試験では、動的な影響が加わるため静的載荷に比べて大きな数値が計測されるのが通常です。定量的な数値だけでなく、振動特性や影響線を得ることも可能です。

写真-3 荷重車走行試験

●現地計測

○静的測定

 静的測定は、主に荷重車を用いた実橋載荷試験の際に実施します。このような静的測定の特長は、橋梁の振動の影響がない状態で既知の車両重量、軸重、載荷位置もとで、 各部の応答が得られることにあります。そのためには橋梁上に一般通行車両が乗載していないこと、車両通過後の橋の揺れが残っていないことが測定条件となります。また、供用開始前や通行止期間以外では交通規制が必要となるため、一般車両への安全の配慮が非常に重要です。

○動的測定

 動的測定は、交通規制等の制約によって静的測定の実施が難しい場合、あるいは影響線や一般車両が走行する時と同様な挙動をとらえる際などに行われ、所定の重量に調整した荷重車を所定のレーンに走行させます。動的測定では各測点ごとに動ひずみアンプやシールドケーブルを使用するため、静的測定よりも高価となりますが、走行車両による橋梁各部の実挙動をとらえるためには欠かせないものです。たとえば、RC床版のひびわれの開口変位や鉄筋応力の変化は、静的測定では得られない+、-両極の敏感な挙動が動的測定で得られます。実測値には橋梁の固有振動や 車両の走行速度の影響が含まれるため、ピーク値を用いて応答値を評価する際には注意が必要となります。

○頻度測定

 頻度測定は、ある期間内において供用下の橋梁各部位に発生する変位,応力の大きさと頻度を把握するために 実施するものです。その結果は、たとえば橋梁の構造的な補強の前後に実施したものであれば、実際に発生する応力や変位、振動の低減を知ることが可能です。
 測定したデータの解析プログラムとしては、ピークバレー,レインフロー法等の各種の手法があり、目的に応 じて選定します。測定にはこれまで専用機が用いられましたが、最近ではソフトを利用してパソコン操作で計測されることが多くなっています。測定に当たっては、日中の温度変化の影響、測定期間の設定、実挙動を正しく とらえるための測点位置の選定、実測可能なフルスケールの選定についての理解が重要です。               
 溶接継手などの疲労被害を推定する際には、ひずみ ゲージの出力をレインフロー法等で測定し、マイナーの疲労被害則を適用して(溶接継手部等の種類と強度等級を設定することによりS-N線図を設定)疲労寿命を算定することが可能です。