特に冬期に路面温度が氷点下にまで低下すると、路面の水分が凍結し、路上を走行する車両の通行に支障をきたすことが懸念されます。現状ではその対策として塩水散布を中心とした路面凍結対策が採られていますが、散布された塩水は橋梁構造部材に対して有害であるばかりではなく、散布作業が夜間となることが多いために作業員や管理担当者に多くの負担をかけるなど、維持管理上の問題点も指摘されています。
ここで紹介する橋梁路面凍結防止策検討は、塩水散布に代わる簡便で合理的な凍結防止策の確立を目的として、鋼床版箱桁を有す実橋で路面凍結防止装置の実験を行ったものです。具体的には、路面裏側の箱桁内を加熱し、その熱伝達および熱伝導に期待して路面温度が氷点下にならないようにするものです。写真は箱桁内を加熱したときの路面の温度分布を示します(赤色部分がもっとも温度上昇した部分)。
このように、箱桁内部を常温レベルに加熱するだけで、路面温度が氷点下になることを防止できることが確認できました。
このほか、各種の加熱方法とその効果、さらに経済性や設備の規模、対象橋梁の立地条件などを考慮して、様々な検討を加えています。