近年、塩害や中性化等により劣化したコンクリート構造物の補修工法として、コンクリートの変状部を除去した後、品質の良い吹付けモルタル(湿式、乾式)等で効率良く断面修復することが求められています。このようなことから、東、中および西日本高速道路株式会社は、吹付けによる断面修復を確実に行うため、構造物や材料に求められる性能を踏まえ、これらを適正に評価する試験方法(試験法432)を定めました。施工技術総合研究所は、同試験方法にもとづき、民間等の保有する吹付け材料について各種評価試験を実施し、試験結果の証明書を発行しています。
断面修復材の要求性能は、①断面の修復に要する性能、②耐久性能に関わる性能、③力学的性能の3つに整理できます。これらの性能試験(試験法432)の評価項目と基準値を表-1に示します。
表-1 吹付け工法による断面修復材の性能評価項目と基準値
要 求 性 能 | 試 験 項 目 | 基 準 値 | 試 験 方 法 |
---|---|---|---|
断面の修復に 要する性能 | ひび割れ抵抗性 | 幅0.05mm以上のひび割れが発生しないこと | 試験法432 |
コンクリートとの付 着性 | コンクリートと断面修復材との付着強度は、1.5N/mm2以上であること | ||
鉄筋背面への充填性 | 有害な空隙がないこと | ||
寸法安定性 | 0.05%以下 | ||
熱膨張性 | 断面修復材の熱膨張係数は2.0×10-5/℃ 以下であること | ||
耐久性能に関 わる性能 | 中性化抵抗性 | 補修設計で定めた中性化速度係数と同等 | |
凍結融解抵抗性 | 負荷後の相対動弾性係数が60%以上かつ 負荷後のコンクリートと断面修復材との付着強度は1.5N/mm2以上 | ||
遮塩性 | 補修設計で定めた塩化物イオンの拡散係数と同等 | ||
力学的性能 | 圧縮強度 | 補修設計で定めた設計基準強度以上 | |
静弾性係数 | 補修設計で定めた値と同等 |
耐久性能や力学的性能は、通常のコンクリート構造物と同様の性能として断面修復材に要求されますが、断面の修復に要する性能は次の理由により規定されています。
付着強度は、断面修復材と既設コンクリートとの確実な一体化のために必要です。断面修復材は、既設部材との材齢差が大きいことから、乾燥収縮、自己収縮等の影響で、有害なひび割れやはく離を生じる可能性がありひび割れ抵抗性が要求されます。また、既設コンクリートの劣化状況に応じて鉄筋の裏側まではつり取って断面修復する必要があるため、断面修復材が鉄筋背面まで確実に充填される性能(写真-1)が要求されます。さらに現場では、上向きや横向きなどの施工方法や供用下での振動の影響(写真-2)など、実際の施工条件も考慮する必要があります。
試験法432は、実橋での施工において要求されるこれらの性能を満足する修復材料であるかどうか、合わせてノズルマンが材料の性能を十分に発揮できるような施工を行うことができるかどうか評価する試験法として定めたものです。
試験の申込み様式および試験申込みの連絡先を以下に示します。
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一般社団法人 日本建設機械施工協会
施工技術総合研究所 研究第二部
〒417-0801 静岡県富士市大渕3154
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TEL | 0545-35-0212 |
FAX | 0545-35-3719 |
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