近年、大きなプロジェクト等を所管する発注機関では、技術職員の減少や発注者業務の多様化が進み、発注者側の監督等業務に体制的・技術的な不足が生じるケースが多くなってきています。特に、コスト縮減等を目指して採用された新技術での施工や、最近多発している災害による復旧事業においては、これらの傾向が顕著です。
このような場合、限られた工期内に安全かつ効率的な事業の推進を図るためには、発注者側の立場で監督等業務を担当したり、迅速かつ適切な技術支援を行うことのできる発注者支援型C M を採用することが有効です。
施工技術総合研究所は、発注者支援型C M に取組むことにより、全体の工事監理、各種技術提案等を行い、円滑な事業の推進に貢献しています。
C M 方式とは、図- 1 に示す発注者の補助者・代行者であるコンストラクションマネージャー( C M r ) が、技術的な中立性を保ちつつ、発注者側の立場で、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、法令遵守、コスト管理などの各種マネジメント業務の一部あるいは全部を行う方式です。
当研究所は、道路、橋梁、トンネル、ダム等我が国の主要プロジェクトの機械化施工に関する業務、構造物等強度試験、建設機械の性能試験、騒音・振動対策などの環境に関わる試験等を実施してきました。これまでの基礎研究に支えられた高い技術力を活かし、中立公正な立場での諸課題の解決を可能にします。
C M 採用の成果の一例を以下に示します。
表-1 CM業務の実施内容例
1.事業関係者間の調整
2.技術的課題への対応
3.安全管理
4.品質管理
5.工程管理
6.コスト管理
契約年度 | 業務名 | 業務内容 | 発注者 |
平成20年度 | 国道1号函南高架橋伊豆縦貫自動車道関連受託事業に伴うCM業務委託 | 設計照査工事監理 関係機関協議等 | 静岡県 |
平成20年度 | 一級河川安永川トンネル新設工事(水源工区)CM業務委託 | 施工計画の照査・確認、工事監理、 技術提案の履行確認等 | 豊田市 |
平成21年度 | クレー射撃場環境対策事業工事に伴う施工監理技術支援業務 | 設計照査、工事監理、 出来形確認、関係機関協議、委員会資料作成等 | 静岡県 |
平成22年度 | 一級河川安永川トンネル新設工事(平和秋葉工区)CM業務委託 | 工事発注支援、施工計画の照査・確認、工事監理、 技術提案の履行確認等 | 豊田市 |