近年のコンクリート構造物の塩害、中性化等による劣化損傷に対して、ウォータージェットを用いてコンクリートをはつる事例が増加しています。ウォータージェットは、従来 のブレーカによるはつりと比較して、コンクリート内部にひび割れを残さない、鉄筋を損傷させない等の利点が指摘されており、また、はつり処理面に適度な凹凸ができることから、それらの結果として既設コンクリートと良好な付着性能が得られることがわかっています。
このため、我が国の橋梁等の既設コンクリート構造物に対する補修・補強工事においては、写真-1に示すように、高速水噴流を利用したウォータージェットによる既設コンクリートの表面処理、はつり、切断、削孔等の処理が施されるようになってきました。しかし、これらの維持管理分野におけるウォータージェット技術そのものは、はつり装置の性能がオペレータの技量とともに不明であるのが現状です。
そのため、施工技術総合研究所は、コンクリート構造物の補修・補強工事にウォータージェット技術を適用する際の品質保証を求める目的で、東、中および西日本高速道路株式会社3社共通の規格(試験法423-1)に基づき、ウォータージェットによるはつり処理性能試験の実施要領を定めました。同性能試験は、ウォータージェット施工業者およびその業者が所有するウォータージェット装置に関して実施する共通の性能証明手法・手順を定めたものです。その手順の流れを図-1、図-2に示します。現在(令和3年4月)までに、44社156名のオペレータが試験に合格し、資格を保持しています。
性能試験では、実構造物の健全部とその中に劣化現象を想定した脆弱部を有する供試体のはつりを行い、その結果をもとにウォータージェットはつり装置の性能および操作責任者の技能を定量的に評価します。
性能試験の評価項目と基準値を表-1に示します。また、性能試験結果の例として、はつり試験時の供試体の状況を写真-2~5に示します。現状の技術は、適切なはつり条件(水圧、水量、ノズルのアタック角や振り角、移動速度など)の設定により、鉄筋の下側のコンクリートをほぼフラットな面に仕上げることが可能なレベルにまで達しています。
表-1 性能評価項目と基準値
評 価 項 目 | 基 準 値(暫定案) | |
セレクティビティ | 端部のはつり残し | 150±25㎜ |
適正度 | 低強度60%以上 | |
高強度30%以下 | ||
ピット 注1) | 3個以下 | |
平 坦 度 | 鉄筋裏のはつり残し | 鉄筋に接したものはないこと |
うねの長さ 注2) | 900㎜以下 | |
表面粗さ | 62.5㎜ピッチで7㎜以上の差 | |
はつり深さ | 10±2㎝ | |
注1)直径32㎜以下、深さ48㎜以上の穴 注2)高さ35㎜以上のうね(不陸)の総延長 |
試験申込み書および申込みの連絡先を以下に示します。
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一般社団法人 日本建設機械施工協会
施工技術総合研究所 研究第二部
〒417-0801 静岡県富士市大渕3154
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FAX | 0545-35-3719 |
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